おやじ、ランニングをはじめる

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テレビに出演している医者が言っていた。ランニングなんて体によくないと。朝はやくに起きてジョギングなんてしてたら早死にするよ、なんて。

最初はその言葉を信じていた。朝起きたら体にやさしいウォーキングでしょう、と思っていた。けれどもそんな私の考えを、一冊の本が打ち破った。

私がランニングをはじめた動機は簡単、以下の書籍を読んだからです。

この本の著者は、メキシコの秘境に住むタラウマラ族という走る民族の元で、真のランニングとはなんであるかに目覚めていきます。

最初は読みにくいなあ、と思いつつ読んでいましたが、次第に引き込まれ、最後には私も『人類は走るために生まれた』という哲学に感化されてしまったのでした。

たしかに私は単純なのでしょう。たかだか本一冊を読んだくらいで、ランニングに対する考えが百八十度変わってしまったのですから。しかしあなたもどうか一度、この本を読んでみて欲しい。Amazonのレビューにも多くあるように、きっと最後には走り出したくなるはずだ……たぶん。きっと。

そして私は翌日から、さっそくランニングシューズを探し始めたのです。

とりもなおさず走り出す、というほどには気が短くはありません。というか、いきなり走り出す勇気が私にはなかったので、格好を整えることから始めたのでした。

さて、『BORN TO RUN』の骨子のひとつに、高機能シューズはかえって足に悪い、というのがあります。裸足で走るのが理想だというのです。しかしさすがにアスファルトの上では無理でしょう、ということでベアフットランニング用の、靴底の浅いシューズを探すことにしました。

ところが、なかなかこれは、というシューズがない。有名なビブラムの五本指シューズはたしかに最適かもしれないですが、さすがにいきなりあれは……ちょっと恥ずかしい。それに高いし。耐久性もいまいちらしいし……。

探し続けて三日、そこでわかったところでは、どうもベアフット用のランニングシューズというのは、一時期のブームが去ったようなのです。ペラペラ底のシューズは姿を消しつつあり、ベアフットと高機能シューズの間をとるようなモデルが増えてきているのでした。

『BORN TO RUN』が出版されてから何年も経っていることもあり、世間の熱も冷めたということでしょうか。しかし私は本を読んだばかりですから、熱のまだ冷めやるはずもありません。そこでなんとか苦労して探し出した靴底ペラペラのシューズが、次回に紹介するシューズです。

私の、シューズ探しの長い旅が始まったのでした。

次回につづく……。

おやじランニング